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英語学習

Learning

「見る」ための具体的方法に向けて

「見る」ために1

  先に、F1雑誌などを使って、読むとは「見る」ことだと考えてみた。当然、英語においても同じことであり、a dogときたら、すぐに「いぬ」という日本語だけが頭に浮かぶのではなく、犬の映像が頭に浮かぶのが本来である。従って、この映像を浮かべるクセをつける のが英語学習の基本である。a dogの「意味」とはその映像のことであり、「いぬ」というのは、a dogに対応する「日本語」にすぎない。「意味」ではない。英単語からいきなり映像が浮かばない場合は一度日本語に置き換えていい。しかし、そのときも、 必ずその日本語から映像を頭に浮かべねばならない。

ちなみに、その頭の中にぽっかりと浮かんでいる映像を見つめつつ、今度は日本語を話す者の立場になって、「この映像を“俺的”には、あるいは“わたし的” には何と言うだろうか」と考えて、個々の“わたし的”“俺的”日本語で映像をつかみにいく行為が「訳す」という行為である。そして、翻訳家でもない限り、 その時は「いぬ」「ワンちゃん」等々何と言ってもいい。要するに、「訳す」とは「英語→日本語」ではなく、「英語→映像←日本語」の図式である。

これは単語のレベルだけでなく、文のレベルにおいても同じことである。さらに、文のことを考えれば「見る」ことの大切さが一層わかってもらえると思う。 He walks to his school.を例にとろう。左から順番に映像を組み立てていこう。まず、heとくれば、どんな人でもいいので人間の男の映像を浮かべる。頭の中に男の映 像を「見」つつ、文の右を見る。すると、そこにはwalksとあるので、頭の中にある男をwalkさせてほしい。もしもwalkという単語から直接 walkの具体的映像が出ないのなら、一度「歩く」という日本語に置き換えていい(これは他の単語でも同様)。しかし、肝心なことは、「歩く」という日本 語に置き換えて満足するのではなく、必ず頭の中にある男を歩かせることだ。いま、男が歩いている姿を頭に思い描きつつ、次を読むとtoとある。toは 「→」という映像の文字化であるのだから、歩いている男の右に「→」を思い浮かべて欲しい。そして、その「→」の向こう側、あるいは右側にhis schoolの映像を浮かべるのだ。学校は千差万別だけに、hisの学校となると正確な映像は浮かばないのかもしれないけど、しかし、自分に身近な校舎を 思い浮かべて欲しい。

こうして頭の中にできた動画(映画)がHe walks to his schoolの「意味」である。もし、He walks to his school.という文がわからないのなら、それは「意味がわかりません」ではなく「見えません」というのが正しい。左から順番に映像を組み立てていくと き、突如、映像が“砂の嵐”か停電になることだから。そして、「わかった!」は「見えた!」ということである。

He walks to his school.の意味、つまり映像を訳すとあらば、翻訳者でない限りどう訳してもいい。その映像を“俺的に”あるいは“わたし的に”つかんでやればいい。 「やつはてくてく歩いて学校に行く」でも「あいつは徒歩で学校に行く」でもなんでもいい。映像を見ていさえいれば、「彼は学校へ歩いて行く」という、まさ しく訳読式の訳でもいい。

しかし、次のような“言語パズル”を経て、「彼は学校へ歩いて行く」という日本語がでてきてしまっては非常にマズイ。