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英語学習

Learning

訳はできても意味がわからないではマズイ

“言語パズル”とは次のようなことを言う。He walks to his school.なら、he=「彼は」、walks=「歩く」、 to=「~へ」、his school=「彼の学校」とまずは日本語を置き換え、そこに「英語の主語+述語=日本語の『~は―だ』」という文法情報をはさみ、「歩く」を日本語の文 末へと移動させ、「~へ」を「彼の学校」の後ろへ移動させ、「彼の学校へ」を「彼は」の後ろに置く。そして、これで出来上がり、と満足する。こういう作業 を“言語パズル”と言う。なぜなら、それは文字の位置を前後に移動させるだけの作業であり、肝心な「意味」は捉えていないからだ。もっとも、この“言語パ ズル”は多くの人がやっていることだと見受ける。

「いや、できあがった日本語から『意味』は捉えられる」、という意見もあるかもしれない。しかし、本当だろうか?まさか、“意訳”というダメ訳をやってい ないだろうか?“言語パズル”をやったことのある人なら恐らくだれでも経験があると思うが、英単語から変換した日本語単語の順番を入れ換えて作り上げた日 本語は、ちゃんとした日本語になっていないことが極めて多い。たとえば、「彼女の彼の申し出の拒絶の事実が彼を落胆させた」というように、「~の~の~ の」と「の」が連続してしまったり、「て、に、を、は」がめちゃくちゃであったり、およそ意味のわからない“怪物”のような日本語が出現することの方が多 い。そんなとき、どうするのか?あるいは、As of October 1, the population of the town is 30.000.という文ならどうする?asを「として」、ofを「の」・・・と変換して日本語の順番を入れ換えると、「10月1日“の”“として”、町の 人口は30,000人です」となるのだが・・・。

これらの場合、意味など多少わからなくてもそれでよしとするか?つまり、訳はできたけど、「で、その意味はどういうこと?」と問われて「わかりません」と いう状況に甘んじるか?それとも、「多分こういうことであろう」、と出来上がったギクシャクした日本語から、英語が本当に言おうとしていることを勝手に “妄想”するか?世間では後者のことを「意訳」というが、意訳のことを我々の業界では「ダメ訳」と呼んでいる。なぜなら、「意訳」とは、出来上がった日本 語が何を言っているのかわからないからこそ、「なんとなくこういうことだろう」と個人の主観で勝手に考え出した訳なのだから。繰り返すが、“わからない” からこそ出来上がる訳なのだ。つまり、原文の意味は訳者の頭の中で勝手に変えられてしまっているのだ。それでは、実際に英語を使ってコミュニケーションを とったり、ましてや仕事をしたりするときは、困る。前者における、意味がわからないままに放っておくというのは、これはもう言葉を使っていることにはなら ない。君が愛する恋人から手紙かメールで涙ながらの訴えをもらった場合、その文を読みながら「この場合の『が』は主題の『が』だろうな」などと分析をし、 「意味がわからないけど、まあいいや」とするだろうか?あるいはその逆で、君が何かを必死に訴えたとき、そういう反応を相手に取られたらどう思う?言葉は 人が伝えたいと思うことがあるからこそ使う道具だ。言葉は心や頭の中にあるものを他者へ配送するのに載せてやる乗り物なのだから、意味を解そうとしなかっ たら、言葉を使っていることにはならないし、言葉そのものが必要でない。