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化粧品開発・貿易販売業

1. 化粧品開発・貿易販売業の仕事概要と英語

・左の「化粧品開発・貿易販売業の英語使用に関する動画を見る」をご覧ください。

 

今回はメディアにもよく登場される神戸市の化粧品開発・貿易販売の会社でインタビューを行った。

 

従業員15名の会社であるが、下にあるようにTime誌等にも取り上げられ、Appleのスティーブ・ジョブズ氏とともに掲載されている会社である。

 

(上の写真内、赤丸で囲ってあるところがその記事)

 

 

従業員15名中、中国語と日本語が話せる方が6名、英語と日本語が話せる方が4名おられる。日々、電話での対応やメール、書類書き、営業等で用いる。社長さんが「論文で用いる」とおっしゃられているのは、社内には他にも研究開発のための実験室があり、研究の成果を広く世界に公表するためである。(ちなみに社長さんの論文は、大きな賞をうけていらっしゃる)

 

社長さんが、いまは中国と日本との関わりが主であり、したがって中国語の方が英語より使用されるが、しかし、英語が全く必要ないというわけではない、とおっしゃっられたこと、加えて、「これからグローバル展開すれば、英語の方が重要になる」とおっしゃったことに注目しよう。日中の間だけでの仕事でも英語は必要だが、日中の間だけの仕事に「グローバル」という見方はされていない。グローバルとは多国との関係である。そして、この動きは止められない。なぜなら、日本では、いま以上にモノが売れないので、外へ出るしかないためである。

 

化粧品関係の企業は現在、日本に900余りあるそうだが、企業の大中小を問わず、どこもグローバル展開を考えているようだ。したがって、英語はますます必要になる。

 

また、社長さんが最後に言っていることにも注目してほしい。仕事で(あるいは人間生活といってもいいであろう)いま一番大事なのは、相手とコラボレーションできること、つまり、互いの長所を信頼しあい、互いの長所に任せあい、互いが長所を発揮しあって、ひとつのことを行っていく精神と力である。なんでもかんでも、自分ひとりでやっていってしまう人や、人に任せようとしない人は、ダメである。この基本は、互助の精神である。

 

互助のためには、まず相手の言うことにしっかり耳が傾けられること、そして、自分の意見を持ち、それを言えることが大事である。これを、コミュニケーション力と言う。TOEIC900点とか英語が通じることをコミュニケーション力というのではない。「心」のことをいうのである。

 

そして、コミュニケーションをする一つの道具として、英語があるとおっしゃる。英語は基礎として大事だが、そういう位置づけである。社長さんは中国生まれ、アメリカに10年近くおられ、いまは日本におられる。そのグローバルな経験から、おっしゃっていることは説得力に富む。

 

インタビュー動画には入っていないが、社長さんはこうもおっしゃっていた。つまり、人格を磨かず、英語だけ話せればいいという人は、通訳になればよい。(もちろん、通訳者が人格を磨いていないとか、通訳者の人格が低いなどという意味では全くない。たとえ磨かなくても成りたつ仕事という意味である)。いまは、各自が英語で仕事をする時代に入っている。そのとき、一番大事なのは、「自分」の全人格である。自分の利益ばかり考える強欲な人、相手の立場に立って考えられない人、相手を尊重できない人、相手の言うことに耳を傾けられない人は、英語など訳に立たないし、使いどころがない。相手の役に立ち、こちらの利益にもなる、互助の精神がない人は、ダメ、とのことである。

 

さらに、中国、日本、アメリカに深く関わる社長さんは、「アメリカにいつまでも倣えはダメ、それに、いまはもうアジアの時代になっている」とおっしゃる。アジアの国が手を取り合い、互助精神を発揮し、世界をリードする、その中で日本は何ができるのかを考えてほしい。そして、そうであるからこそ、英語をもって、発信していくことを考えてほしい。もちろん、上にも書いたように、「全人的」にである。

 

 

2. ミッション

 

相手の立場に立ち、相手を尊重する心、これを磨くには、教養が必要。文学書や古典を読むことを勧める。それらをじっくり読む機会を設け、じっくり自分で考えていくこと、これが大事である。「ハウツー本」ではだめである。(私の個人的見解であるが、昨今の日本は、資格や仕事に追いまくられて、「暇」という言葉、「じっくりと時間をかけて」という言葉が、あたかも悪いかのように考えられる傾向にある。それは悪くもなんともない。じっくり時間をかけて、じっくり体験し、考えることがなければ、「人」など育たない。効率ばかり追い求めるのであれば、人間は必要ない。すべてコンピューターに任せればよい。もうひとつ、「じっくりと時間をかけて」ができない社会は、「心のゆとり」のない社会である。日々、「生きている」というより、「サバイバルしている」と感じられる社会である。日本がそういう社会であるのなら、日本はすでに先進国から脱落した証拠である。)

 

貿易等の英語は、ある程度、パターン化した英語で大丈夫。ここでは、さらに、化粧品に関する市場拡大を考えてみよう。社長さんのインタビューを聞き、今後どこの国に展開することが考えられるか聞き、その国にどのようにして市場を展開するのか、ケーススタディー(とくに文化的差異)から考えてみよう。もちろん、そこで出した戦略を、英語での営業によって展開できるよう、英文を考えて、暗記し、友人に顧客役になってもらって、英語で説明してみよう。

 

 

(本ページは科研費(課題番号21520608)の助成を受けたものである。)