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タクシー運転士

タクシー運転士

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1. タクシー運転士の仕事の概要と英語

 

仕事の概要は説明しなくてもよいと思う。

 

私がインタビューしたのは、国内数か所のタクシー運転士の方々。動画取材までは、いずれも応じていただけなかったため、動画は割愛する。

 

地域別に、英語使用の頻度は異なっていた。やはり、大都市圏や国際空港附近、京都・奈良、北海道、広島、長崎といった地域は英語を使用する頻度が高かった。そういう場面が頻繁にあるため、英語が話せる運転士さんも少なくなく、行き先に到着する間までの会話を楽しむと言っていた。また、乗客を乗せていないときは、ラジオの英語放送が入る地域は英語放送を、あるいは、CD等で英語を聞いているとのことで、実際に、私もそれらを聞かせてもらった。そうした方々は、もちろん、英語は必要、とのことであった。

 

一方、地方都市や地方の町では、英語の使用頻度は少なかった。ただし、バス運転士のところと同様の理由で、英語が無ければ仕事が務まらないわけではないが、使えた方がよいとのことであった。

 

もっとも、バスの運転士とは異なり、タクシーの運転士は、乗客から行き先を必ず聞くことになる。そのとき、英語が話せない運転士さんは、紙に行き先を書いてもらうことになる。たいていは、ローマ字で書かれるので、ローマ字さえ読めればなんとかなるのであるが、手書きの字が読めない場合も少なくない。そんなときは、少なくとも「なんて書いてあるの」と尋ねるしかなくなる。

 

バスは客が不特定多数に乗ってくる一方、タクシーは客を路上で乗せる、すなわち、客を運転士が選択できるケースが多々ある。いま、タクシー業界は熾烈な競争業界になっている。一人でも多くの客を乗せたい。外国人が多く日本を訪れているいま、英語ができれば、どのような客も乗せられるという自信もあり、業務上、かなりプラスになるとのことである。一方、英語がまったくできない場合は、客を選びざるを得ない。あきらかに海外から来たと見える人も、行き先を聞きとることすらできないと乗せることができない。そのような意味で、英語はできた方がよいとのことである。もちろん、相手を安心させてあげられるという、人間のもつ温かさから発露する思いもある。

 

 

2. ミッション

「どこどこまで行って下さい」という言い方の英語を考え、それを暗記し、自分で繰り返す。そうすれば、聞こえるようになる。これは、最低限必要なミッションである。

 

 

(本ページは科研費(課題番号21520608)の助成を受けたものである。)